至兼の、メヒコに完敗(乾杯)

メキシコでの日々、身の回りに起きた色々なことを紹介し、
メキシコをより身近に感じていただければ幸いです。
どうぞよろしくおねがいします。

ー乗り物編ー 紅

メキシコシティの地下鉄は
急ブレーキ、急発進が日常茶飯事だ。メキシコ人にとっては、お茶の子さいさい。
急ブレーキなんて、なんのその。
僕はただただ、メキシコ人の体幹の強さに、日々驚かされていた。


ぼくが使っていた地下鉄路線の座席シートは
メキシコ地下鉄界でセミクロスシートが主流の中、


アルミ製でツルツルのロングシートを採用。


その座席は、7人掛けで
3人目と、4人目のところに人数を区切るための手すりのようなものが設置されいる。


その日の車両は、どういうわけかとても空いていて、
終点近くになると、座席のはじに僕が座り、反対側に大きいマダムが座っていた。
お金持ちの人はあまり使用しない、メキシコの地下鉄において、
こんなテラテラな、肌触りがよさそうな服を着ている人を見かけるのは珍しい。
このおばはんは、なんで地下鉄なんかに乗っているんだろう。。。
そういえば、今日の座席には、3人目と4人目のところの区切りが見当たらない。。。


なんて考えていると、日常茶飯事の地下鉄名物、急ブレーキが僕らを襲う。
今日の急ブレーキは時間がいつもより長い。。。はじに座っていたぼくは、
手すりの部分に体を押し付けられる格好となり、身動きが取れない。。。


とほぼ同時に、女性の叫び声が近づいてくる近づいてくる近づいてくる、、。
「きゃーーーーー」


テラテラ生地とツルツル座席で勢いづいた、ブヨブヨマダムは一人で
ロングシートをスケルトン。


さらに近づく、悲鳴と巨体。
これってまさか??


ブレーキ制御、もちろん不能のスケルトン。
そのまま、ぼくを肉圧で轢きつぶす。。。
髄を走る電撃とその圧力に、ノックアウト。。。そこでなんとか電車はとまる。
すると今度は跳ね返り。
マダムはなぜだか、ぼくの首をむんずとつかみ、
軽い、ぼくの体は反転、
どういうことか奇跡がおこり、顔がマダムの胸に着地。
懐かしい感じと、鈍痛を感じながら、自問自答。。。ここはどこ、、、目の前にはチョモランマ?なるほどこれが本当のモンブラン??世界最高峰の山の名前が脳しょうを駆け巡る。。。


ようやく、訪れる静寂の時。
僕の眼前にそびえたつ、双子山。。。。
そしてご機嫌ななめな本体双子山。。。
アジア人を突き飛ばし、自分の座席への花道を歩く。そこから放たれる怒りのオーラは烈火のごとし。。。ぼくは、被害者?それとも加害者?


気まずい空気がその場を支配。
あばらと背骨に痛みを。心に深傷をおいながら、ようやく電車は終点に。
双子山は悠々と、降車し自分の花道を行く。
車両に残ったぼくは疲労感でしばらく頭が真っ白に、、、

燃えて真っ白

燃え尽きて真っ白、、

なのに脳裏を離れない紅の残像。。。

あれはもしや、、、マダムのブラジャー?

夕日に染まる、、、双子山?


なるほど、納得、そういうことか。。
あれが本当、正真正銘
スケルトンで、透ける豚。。。つけていたのは、紅の、、、