至兼の、メヒコに完敗(乾杯)

メキシコでの日々、身の回りに起きた色々なことを紹介し、
メキシコをより身近に感じていただければ幸いです。
どうぞよろしくおねがいします。

ー乗り物編ー なりきり芸

メキシコの地下鉄には、色々な人が乗り込んでくる。
乗客だけでなく、物乞いの人、物売りの人、路上アーティスト、フーリガンっぽいサッカーファンなどなど。
大きいリュックにコンボをはめ込み、音楽を流しながら海賊版CDを売り歩く人。
車両を劇場に見立て、突如演劇を始める若者。
椅子と楽器を持ち込んで車両を占拠してコンサートを始める音楽家。。。
その横を学校に行くお金をくださいと、お金を求める子供たち。。。
文房具や、お菓子など、その時の流行りものをぶら下げて歩き回る商人達。
割れたガラスを布の上に広げ、その上に乗りながら、やせ我慢をしてお金を求める若者。。。


メキシコに来始めたころは、こんなカオスっぷりに驚き、ものの木、興味津々。
時におもしろおかしく、時に切なく。
日本では絶対にない光景だと思いながら、
休みの日は用もなく地下鉄に乗り込み人間観察をしたものである。


そんなある日、ぼくは地下鉄ブルーライン2号線にて、
いつもの日課、地下鉄で繰り広げられる人間模様の観察開始。
その日、最初のターゲット、、、、メキシコ在住タモリさん。。。
スポーツ用のサングラス。つえで障害物を確認しながら車内を練り歩く。
左手には半透明のコップを装備。中にはいくら小銭あり。。。
首から何かをぶら下げて、こちらの方に向かってくる。何が書いてあるかはわからんが、
「私は盲目です。お金をください!!」
的なことが、書いてあるのだろう。
でも、いつもと違う雰囲気も。大体盲目の人がお金をもらうとき、
後ろに一人、付き添いが。けれども今日は、それがない。なんでだろう。なんでだろう、、、。何か訳でもあるのかな?


乗客は、コップにお金を。
乗客は、このタモさんが転ばぬよう、道を開けて協力を。
メキシコ人。なんて心がきれいなんだ。
お金を集めるタモさんと、それを支えるメキシコ人の人間ドラマ。
涙腺に響いてくる熱い感情。
すぐさま財布に手をやり、募金の準備を。。。
もうすぐタモリは僕の前を通過する。


その瞬間、車内を襲う急ブレーキ。
ぼくの前でバランスを崩すタモリさん、、、
大丈夫か??そう思った瞬間
杖を離した右手は手すりに向かって一直線。。。
ぼくの目の前をマッハで通り抜け手すりに到着。
右手一本で体を支えるタモリさん。。。。


。。。。。


その時、車内の空気が変わった。。。


見えてるんじゃ???
この人見えてるんじゃ???
この人本当は見えてるんじゃ???
ていうか、絶対に見えてますよね???


乗客の疑惑のシャワーを一身に浴びる偽タモリ。
おかしな空気が流れるのをよそに、
自分のペースで再び練り歩く偽タモリ。。。


バレてるのに、、、見えてるって皆わかってるのに。。。。


次の駅まで練り歩き、ドアが開くと同時に車両を出る偽タモリ。
去り際に車内に一言。
「いったんコマーシャルはいりまーーっす。」


ウソのようなホントの話。。。。
んな、こたぁーない。